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「整骨院なら肩こりも保険で受けられる」「整骨院と整体院は同じようなもの」。このような認識があるかもしれませんが、実は異なります。整骨院(接骨院)で健康保険が使える範囲は決まっており、整体院とは施術者の資格の位置づけも違います。
受療先を誤ると、保険が使えると思っていたのに全額自己負担になる、骨折が見逃されたまま時間が経つ、といったことが起こり得ます。
本記事では、岡山市南区西市のじゅん整骨院として、整骨院で保険が使える症状・使えない症状と整体院との違いを、公的機関の資料に基づいて整理します。整骨院と整体院の基本的な違いについては整骨院と整体院の違いもあわせてご覧ください。
| 項目 | 整骨院・接骨院 | 整体院 |
|---|---|---|
| 施術者 | 柔道整復師(国家資格) | 国家資格がなくても開業可能。民間資格を持つ施術者もいます |
| 根拠となる法律 | 柔道整復師法 | 整体を直接定める法律はありません |
| 施術所の開設 | 柔道整復師法に基づき、開設の届出が必要です | 開業届のみで開設可能 |
| 健康保険(療養費) | 対象となる負傷に限り使えます | 使えません |
厚生労働省の「あはき・柔整広告ガイドライン」(令和7年2月18日)では、整体はあはき(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう)や柔道整復とは別の業務の種類として扱われ、その資格は民間資格として位置づけられています。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内では、整骨院・接骨院で健康保険が使えるのは、次の負傷とされています。
例として、「スポーツ中に体にボールが当たってケガをした」「階段から転落してケガをした」などが挙げられています。
同じ案内では、次の場合は健康保険が使えないとされています。
なお、交通事故による負傷は自賠責保険、仕事中・通勤中の負傷は労災保険の対象となる場合があり、健康保険とは手続きが異なります。
どちらも「整」の字を含み、看板やインターネット上で並んで表示されることが多いため、資格や制度の違いが分かりにくくなっています。ちなみに「整骨院」と「接骨院」は同じ施設です。
健康保険が使えるかどうかは、症状の名前ではなく、外傷性の負傷かどうかで判断されます。たとえば同じ「腰の痛み」でも、重い物を持ち上げた瞬間に痛めた場合と、長年続いている慢性的な痛みとでは扱いが異なる可能性があります。負傷の原因や時期を問診で確認する必要があるのはこのためです。
保険の対象(適応)となるかは、負傷の内容によって決まります。

当院では、施術の前に、いつ・どこで・どのように痛めたのかを問診で確認し、視診・触診・徒手検査を行います。必要に応じて超音波画像観察装置(エコー)で骨・筋・靭帯の状態を観察し、保険の対象となる負傷か、医療機関での精査が必要かを判断する材料にしています。
単なる肩こりや慢性的な痛みなど、健康保険の対象外となる症状についてご相談いただいた場合は、保険の対象外であることを事前にお伝えしたうえで、自費での施術の内容と費用をご説明します。
| 状況 | 考えられる受診先 | 保険の扱い |
|---|---|---|
| 転んだ、ひねった、ぶつけた直後の痛み | 整骨院・接骨院、整形外科 | 整骨院では外傷性の打撲・捻挫・挫傷が健康保険の対象 |
| 骨折・脱臼が疑われる | 整形外科(整骨院では応急手当) | 整骨院での継続的な施術には医師の同意が必要 |
| 仕事中・通勤中のケガ | 整骨院・接骨院、整形外科 | 労災保険の対象 |
| 交通事故によるケガ | 整形外科、整骨院・接骨院 | 自賠責保険の対象 |
| しびれ、発熱、夜間の強い痛み | 医療機関 | — |
| 単なる肩こり・疲労 | 整骨院・整体 | 整骨院では健康保険は使えません(自費) |
受療先に迷う場合は、痛めた経緯と症状をお伝えいただければ、整骨院で対応できる範囲かどうかをご説明します。

整骨院と整体院の基本的な違いはこちらの記事で、保険適用の詳細は保険適用についてのページでご確認いただけます。

転倒やスポーツ外傷、日常生活での衝突などで「骨折かもしれない」と感じる場面は少なくありません。
一般的に骨折といえば、明らかな変形や強い腫脹を伴うものが想起されやすいものです。しかし実際の臨床では、骨皮質の一部にのみ破綻が生じる不全骨折や反復的な負荷によって生じる疲労骨折のように、外見上の変化が乏しい損傷も数多く存在します。
こうした損傷では、なぜ痛みが長引き、あるいは繰り返すのでしょうか。その背景には、「変形がない=骨損傷がない」という誤った判断があります。
岡山市南区のじゅん整骨院では、柔道整復師としての触診技術に加え、超音波画像検査(エコー)を用いた病態の可視化により初期評価の精度向上を図っています。
エコーと触診を組み合わせ、視覚と触覚の両面から病態を評価します。

骨損傷の可能性を検討する際、まず重視されるのは問診による受傷機転の把握です。どの方向に、どの程度の外力が加わったのかという情報は、損傷部位と損傷様式を推定するうえでの基礎情報となります。
これに加え、視診による腫脹・皮下出血・アライメント異常の有無、触診による限局した圧痛の部位特定、各種徒手検査による運動時痛・不安定性の確認を組み合わせ、総合的に病態仮説を構築します。
特に不全骨折では、圧痛と運動時痛のみが主所見となるケースがあり、視診・触診単独では判別が難しい場面があります。この段階で有用なのが超音波画像検査(エコー)です。エコーでは以下の点を確認します。
組織学的には、骨折部位では骨皮質の連続性が断たれることで骨髄内出血・骨膜下血腫が生じ、これに続く炎症反応として血腫の器質化、仮骨形成へと進行していきます。
この一連の修復過程が正常に進行しているかどうかを外見のみで評価することは困難であり、エコーによる経過観察が評価の一助となります。

評価の結果、整復操作の適応があると判断した場合は必要に応じて整復を行い、その後ギプスやシーネによる固定処置に移行します。固定の目的は、骨折部の安静を保持し、仮骨形成に必要な力学的環境を整えることにあります。過度な動きは仮骨の形成を妨げる要因となり得るため、固定期間中の安静保持は修復過程における基本的な条件です。
固定処置と並行して用いられる物理療法として、低出力超音波(LIPUS)や微弱電流(エレサス)が挙げられます。
低出力超音波は、骨折部位に微弱な機械的刺激を伝えることで、骨芽細胞や破骨細胞を含む骨代謝関連細胞の活動に影響を与える可能性があるとされ、骨折の治癒過程における補助的な介入として用いられることがあります。
また微弱電流は、細胞膜の電位変化を介して局所の代謝活動やタンパク質合成に関与する可能性があるとされ、組織修復の環境を整える目的で選択されることがあります。
いずれの機器も、固定という力学的な安静保持を前提とした上での補助的な位置づけであり、単独で骨癒合を促進することを断定するものではありません。評価結果に応じて、レントゲンやMRIなど精密画像検査が必要と判断した場合は整形外科へ紹介し、医科との連携のもとで対応を進めます。

骨折の修復過程は、力学的な固定だけで完結するものではなく、組織合成に必要な栄養基盤があってはじめて成立します。分子栄養学的観点からは、以下の栄養素が組織修復に関与する要素として位置づけられます。
これらの栄養素はいずれも単独で骨癒合を保証するものではなく、固定・物理療法と並行した代謝環境の一要素として捉える必要があるため、過負荷動作の回避や活動再開のタイミング指導と合わせて総合的にご案内させていただきます。
骨折、特に不全骨折・疲労骨折は、初期対応の遅れが回復期間や機能障害に影響を及ぼす可能性があります。問診・視診・触診・徒手検査に加え、エコーによる病態の可視化を組み合わせることでより精度の高い初期評価が可能になります。
評価に基づく適切な固定処置、必要に応じた医科連携、そして段階的な機能回復への介入を一貫して行うことが、早期の日常生活・スポーツ活動復帰につながります。「骨折かもしれない」と感じた段階での早期の評価相談が重要です。

「どこに行っても良くならない」「原因がわからないと言われた」という訴えで来院される患者が一定数存在します。
この背景には、症状名(例:捻挫・肉離れ・腱鞘炎等)のみを手がかりとした画一的な対応と、実際に組織で何が起きているかという病態との間に、しばしば乖離が生じているという構造的な問題があります。
本稿では、病態を特定するプロセスそのものを施術設計の起点とする考え方について、機能解剖学・組織修復学の観点から整理します。

同一の症状であっても、その背景にある組織学的・力学的な問題は症例ごとに異なります。例えば「足関節捻挫」を考えても、前距腓靭帯(ATFL)の部分断裂なのか、腓骨下端の裂離骨折なのか、腓骨筋腱の亜脱臼を伴うものなのか、あるいは距骨滑車の骨軟骨損傷を合併しているのかによって、必要な固定強度・可動域制限の範囲・組織修復に要する期間は大きく異なります。
病態を特定せずに「捻挫だから安静・固定」という一般論のみで対応した場合、実際には別の構造的問題(靭帯の機能的不安定性、関節包の癒着、固有受容覚の低下等)が残存し、症状の遷延や再発につながることがあります。
したがって、症状名の把握と病態の特定は、本来別の階層にある評価プロセスであると当院では位置付けています。

病態特定のプロセスでは、以下の評価を組み合わせて総合的に判断します。
| 評価手法 | 目的・確認内容 |
|---|---|
| 問診 | 受傷機転、疼痛の性質(動作時痛・自発痛・夜間痛等)、既往歴の確認 |
| 視診 | 腫脹・変形・皮膚色調・患部の使用状況(かばい方)の確認 |
| 触診 | 圧痛部位の特定、腫脹の性状(熱感の有無等)、筋緊張の左右差 |
| 徒手検査 | 靭帯・腱・関節包の機能的安定性を評価するストレステスト、動的評価 |
| 超音波画像検査(エコー) | 靭帯・腱の連続性および肥厚の有無、関節液貯留、血流評価(ドプラ)、動的ストレス下での関節間隙の変化 |
エコーを用いる意義は、触診や徒手検査で得られる情報を、リアルタイムかつ非侵襲的に画像として裏付けられる点にあります。
特に靭帯の肥厚や部分断裂、骨棘形成の有無、動的ストレス撮影による関節不安定性の可視化は、触診のみでは判断が難しい情報を補完します。

病態が特定された後の処置は、単一の手技や機器に依存するのではなく、特定された組織学的問題に応じて選択します。
靭帯損傷であれば固定による機械的安定性の確保、腱の炎症性変化であれば物理療法による循環促進と炎症コントロール、というように、処置の根拠は病態と直接結びつく形で設計されます。
加えて、組織修復には力学的な処置だけでなく、材料としての栄養供給も必要です。コラーゲン合成に関与するビタミンC、たんぱく質、亜鉛や骨組織の再石灰化に関わるカルシウム・ビタミンDといった栄養素は、組織修復学の観点から施術効果を支える基盤として位置付けられます。
症状に対する一過性の除痛のみを目的とするのではなく、その背景にある病態を徒手検査とエコーによって可能な限り詳細に特定し、その病態に対応した施術設計を行うことが、再発予防および根本的な機能改善につながると当院では考えています。
原因不明とされてきた症例に対しても、この評価プロセスを徹底することで、対応の糸口が見えることがあります。

「整形外科」と「整骨院」は、どちらも運動器(骨・関節・筋・靭帯など)の不調に関わる施設ですが、法的な位置づけと担える業務範囲は明確に異なります。
整形外科は医師による医療機関であり、診断・投薬・手術・画像診断(レントゲン、MRI、CT)が可能です。
一方、整骨院は柔道整復師が施術を行う施設であり、医師の診断権限や投薬権限は持たない代わりに、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷といった急性外傷について、独自の評価と手技・物理療法による施術が認められています。
この違いを踏まえたうえで重要になるのが、「痛みや外傷が生じたとき、なぜその状態が発生し、なぜ症状が長引くのか」ということです。
ご自身の判断で単に「様子を見る」のではなく、症状によってどの施設を選択するかが、回復の経過に影響すると当院では考えています。

整骨院ではレントゲンやMRIを使用できませんが、超音波画像検査(エコー)を用いることで、骨皮質の連続性、靭帯・腱の線維配列、関節包や滑液包の水腫の有無といった軟部組織の状態を、体表から非侵襲的に観察できます。
これは骨折線の確認だけでなく、捻挫における靭帯損傷の程度や、肉離れにおける筋線維・筋膜の断裂範囲を把握するうえで有用な手段です。
当院では、問診(受傷機転・疼痛の性質・時間経過)、視診(腫脹・変形・皮下出血の有無)、触診(圧痛点・熱感・可動域制限)、各種徒手検査(ストレステスト等)を行ったうえで、必要に応じてエコーによる画像検査を加え、総合的に病態を判断する方針をとっています。
単一の検査や経験則のみに依拠せず、複数の評価軸を重ね合わせることで、再現性のある病態把握を目指しています。
組織学的には、急性外傷の直後は炎症期(血管透過性の亢進、炎症性細胞の遊走)にあり、その後、増殖期(線維芽細胞によるコラーゲン産生)、リモデリング期(線維配列の再構築)へと段階的に移行します。
どの時期にあるかによって適切な介入手段が異なるため、受傷からの経過時間の把握も病態把握の一部として重視しています。

急性外傷への対応が長引くケースの背景には、以下の要因が想定されます。
・誤った病態把握
・初期の固定の不足
・炎症期における不適切な負荷
・施術方法の不一致
・組織修復に必要な栄養不足
上記以外でも複数の要因が重なっている可能性があります。

当院で使用する物理療法機器は、それぞれ組織修復の異なる段階に働きかけることを想定して選択しています。
いずれの機器についても、単独で万能な効果を保証するものではなく、病態と受傷後の経過時期に応じて選択・組み合わせる方針をとっています。

組織の修復には、施術と並行して体内の栄養状態も関与すると考えられています。コラーゲン合成にはビタミンCが補因子として関与し、また創傷治癒や免疫応答には亜鉛、血液凝固や骨代謝にはビタミンKが関わるとされています。
たんぱく質(アミノ酸)は筋・腱・靭帯を構成する基質そのものであり、摂取量が不足している場合、修復速度に影響する可能性があります。
ただし、これらは一般的な栄養生理学の知見であり、個々の症例における効果を保証するものではありません。必要に応じて食事指導やサプリメントの活用について、施術と合わせてご案内することがあります。

一方で、手術が必要と判断される重度の外傷、内科的疾患が関与する場合、投薬が必要な場合は、整形外科への受診が適しています。
整骨院と整形外科は競合する関係ではなく、症状や状況に応じて役割が異なる施設として捉えていただくことが、適切な選択につながると考えています。
捻挫や靭帯損傷の詳しい病態評価については、足首の”捻挫”の記事もあわせてご参照ください。
物理療法機器の使い分けについては、最適な”物理療法”の選択で詳しく解説しています。
組織修復と栄養の関係については、以下の記事もご覧ください。

対象は10歳男児。バレーボール競技中のブロック動作にて受傷し、右示指の突き指様症状を主訴に来院した。健側対比では、示指MP関節よりやや遠位部に腫脹が確認されたが、皮下出血斑は認めなかった。

受傷機転はバレーボールでのブロック動作時の突き指。来院時の主訴は「少し腫れている」であった。
患部をエコーにて観察したところ、骨折を疑う所見が確認された。触診所見(基底部の強い圧痛・変形)とエコー所見を合わせ、骨折の可能性が高いと判断した。
整形外科医師に対診を依頼。医師の診察およびレントゲン検査により、第2基節骨基底部骨折との診断が確定した。
初期対応としてアイシングおよび固定を実施した。
現在固定12日目であり、酸素BOX内での低出力超音波療法(LIPUS)を継続している。腫脹は経過とともに軽減傾向にある。
あわせて、タンパク質中心の食生活と糖質摂取制限による栄養学的アプローチを並行して行っている。
今後は経過観察を継続しながら固定除去のタイミングを判断し、その後段階的なROM訓練へ移行する予定である。
小児のスポーツ外傷における「突き指」は、外観上軽微に見えても骨折を含む場合がある。本症例では、健側対比による腫脹の確認、関節可動域の左右差、基底部の圧痛・変形といった触診所見に加え、エコーによる骨折疑い所見の確認を経て、整形外科対診・画像診断へとつなげた。
じゅん整骨院では、こうした急性外傷に対し、触診とエコーを組み合わせた評価プロセスを基本としている。

足関節捻挫の急性期対応として、テーピングやサポーターのみで様子を見るという選択がとられる場面は少なくない。しかし、損傷した外側靭帯にかかるストレスを角度という指標で考えると、テーピングやサポーターでは制動が不十分となりうる局面がある。
本稿では、外側靭帯の緊張角度に関する知見と、キャスト固定中の関節可動域を実測した研究データをもとに、急性期になぜ固定という選択が必要になるのか、またハードキャストではなくソフトキャストを選択する根拠について整理する。

足関節捻挫で主に損傷を受ける外側靭帯のうち、前距腓靭帯(ATFL)は足関節底屈角度がおよそ16.2度以上になったときに緊張し、踵腓靭帯(CFL)は背屈角度がおよそ17.8度以上で緊張するとの報告がある。
逆に言えば、底背屈がおおむね15度程度の範囲にとどまっている限り、ATFL・CFLはともに緩んだ状態が保たれると考えられる。
急性炎症期(受傷後0〜10日程度)は、断裂した靭帯が生理的な長さを保った状態で瘢痕性修復を開始できる環境を整える必要がある時期であり、この時期に靭帯断裂部へ離開方向のストレスを繰り返しかけないことが、修復過程を妨げないための前提条件になる。

ここで問題になるのが、テーピングやサポーターがこの15度という基準を実際に守れているかという点である。この点について、キャスト固定中の足関節可動域を三次元動作解析で実測した研究がある。
この研究では、固定を全く行わないコントロール群の自動運動時最大底背屈可動域は42.1°/25.5°、歩行時でも18.5°/16.5°であった。テーピングやサポーターは、キャストのような硬化した外殻構造を持たず、伸縮性のある素材で関節運動をある程度許容する設計であることから、その制動力はキャスト固定よりもコントロール群(無固定)の可動域に近くなることが推測される。
なお、この点については重要な留意事項がある。今回参照する研究でテーピングやサポーターそのものの可動域が直接測定されているわけではなく、あくまで無固定群のデータからの推論である。
しかし、無固定群の可動域がすでに15度を大きく超えている以上、固定方法や素材特性により変わる可能性はあるが、テーピング・サポーターのみで15度以内を担保することは、困難であると考えるのが妥当である。
したがって、急性期においては、テーピングやサポーターではなく、より制動力の高い固定材を用いる必要があると考えられる。

制動力という一点だけを見れば、硬化した外殻を持つハードキャストが最も確実に可動域を制限できる。しかし、一般的なギプス固定には、拘縮、血行不全、筋萎縮、足底感覚入力の低下といったリスクが懸念されてきた。
特に足底の感覚入力が低下することは、歩行時のバランス制御や再受傷予防の観点からも軽視できない要素であり、歩行そのものの感覚も低下することが推察される。急性期の一定期間とはいえ、制動力とこうした副次的なリスクは、両立させる形で設計されるべきものである。

この課題に対する当院の選択が、ソフトキャストによる固定である。硬化後も一定の柔軟性を保つソフトキャストは、患部の安静を図りながらも足底部が柔らかく、足底感覚や歩行感覚を維持しやすいという特性を持つ。
問題は、この特性を持ちながら、実際に底背屈15度以内という基準を担保できているかという点であり、これについては実測データが根拠となる。
| 条件 | 最大底屈角度 | 最大背屈角度 |
|---|---|---|
| ソフトキャスト固定・歩行時 | 11.0° | 12.6° |
| ソフトキャスト固定・自動運動時 | 24.7° | 11.0° |
歩行時の可動域については、ソフトキャスト固定下で底屈11.0°・背屈12.6°と、いずれも15度以内に収まっており、日常的な歩行動作においては靭帯への離開ストレスを回避できる範囲に制動されているといえる。
また、この歩行時可動域についてはハードキャストとの間に有意差が認められておらず、歩行を目的とする限りにおいてはソフトキャストでも十分な制動が得られている。
一方で、患者が自力で足関節を大きく底屈させる自動運動においては、ソフトキャスト固定下でも底屈角度は24.7°に達し、15度の基準を超える。この点は、ソフトキャストが万能ではないことを示す重要なデータである。
つまり、ソフトキャストは「歩行という日常動作の範囲では」15度以下を担保できるが、「意図的に足関節を動かそうとする自動運動」まではカバーしきれない。ここに、固定材の選択だけでなく、患者への動作指導(急性期には自力で足首を大きく動かさないこと)を併せて行う必要性の根拠がある。

足関節捻挫の急性期対応において、テーピングやサポーターのみでは、外側靭帯の緊張角度である15度という基準を制動しきれない可能性が高く、急性期には固定という選択が必要になると当院では考えている。
一方で、制動力を優先してハードキャストを選択すると、足底感覚や歩行感覚の低下という別のリスクを抱えることになる。当院がソフトキャストを採用しているのは、歩行時の底背屈可動域を15度以内に制動しながら、足底感覚を維持できるという、両者のバランスを取るためである。
ただし、ソフトキャスト固定下であっても自動底屈運動では15度を超えるため、固定材の選択と合わせて、急性期には自力で足関節を大きく動かさないという患者指導を行うことが不可欠である。この一連の判断の根拠となっているのが、キャスト固定中の関節可動域を実測した研究データである。
本稿は特定の研究データおよび機能解剖学的知見に基づく臨床的考察であり、個々の症例における適応は損傷の程度・部位・患者背景により異なる。実際の固定方法の判断は、担当する柔道整復師による直接の評価に基づいて行われるべきである。

”骨粗鬆症”(こつそしょうしょう)は、骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨密度および骨質が低下することで骨がもろくなり、軽微な外力でも骨折を起こしやすくなる病態です。
高齢者や閉経後の女性に多く見られる一方、運動不足や栄養摂取の偏りが背景にある場合、若年層でも同様の骨代謝の乱れが生じることがあります。
当院では、単に「年齢のせい」として片付けるのではなく、なぜその骨がもろくなっているのか、骨代謝のどの段階に問題があるのかを見据えた上で、栄養面を含めたアドバイスを行なっています。

骨粗鬆症そのもの(骨密度・骨質の評価)は、整形外科の専門的な検査によって行われるものであり、超音波画像検査(エコー)で骨密度そのものを評価することはできません。この点は当院としても明確にお伝えしています。
一方で、エコーが臨床上有用なのは、骨折の評価においてです。
骨折が疑われる部位では、骨皮質の連続性の途絶や骨膜反応の有無、周辺軟部組織の腫脹・血腫の状態をエコーで観察し、問診・視診・触診・各種徒手検査の結果と合わせて総合的に判断します。
骨粗鬆症の既往がある方は、軽微な受傷機転であっても骨折を疑う閾値を下げて評価することが臨床上重要だと考えています。

骨は、破骨細胞による吸収と骨芽細胞による形成という2つのプロセスが常に繰り返される動的な組織です。
加齢や運動不足、ホルモンバランスの変化(特にエストロゲン低下)、栄養不足が続くと、この骨代謝回転(リモデリング)のバランスが吸収優位に傾き、骨梁構造が疎になっていきます。
この過程は自覚症状に乏しく進行するため、栄養面からのアプローチが予防・維持において重要な意味を持つと考えられています。

骨代謝を良好な方向に維持するためには、以下の栄養素を意識的に摂取することが重要です。ここで示す摂取量は年齢・性別・身体状況によって個人差が大きいため、目安としてご参照ください。
骨の主成分を構成する中心的なミネラルです。摂取不足が続くと、血中カルシウム濃度を維持するために骨からカルシウムが動員され、骨密度低下につながります。
腸管でのカルシウム吸収を促進する脂溶性ビタミンで、骨形成にも関与します。皮膚が紫外線を受けることで体内合成される点も特徴です。
骨基質タンパクであるオステオカルシンを活性化し、カルシウムを骨に定着させる働きに関与するとされています。
骨の結晶構造の一部を構成するとともに、カルシウム代謝やビタミンDの活性化にも関与するミネラルです。
骨基質(コラーゲンを中心とした有機成分)の土台を構成する栄養素です。高齢者は食が細くなることでタンパク質摂取量が不足しやすく、骨基質・筋肉量双方の観点から注意が必要です。

栄養素を意識的に摂取していても、以下のような習慣が続くと骨の健康を損なう可能性があります。
当院では、骨粗鬆症そのものの判断は行っておりません。しかし、骨折が生じている可能性についてはエコーをはじめ、問診や視診、触診と合わせて総合的に判断した上で施術方針を組み立てています。
また、再骨折の予防という観点から、日常的な栄養状態についてのアドバイスも行っています。最近つまずきやすくなった方、骨折を繰り返している方は一度ご相談ください。
”骨粗鬆症”の予防・改善には、骨代謝を支える栄養素を意識的に取り入れることが欠かせません。
カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、タンパク質をバランスよく摂取するとともに、過剰な塩分・糖分の摂取や極端な食事制限を避けることが、骨の健康維持につながります。
骨密度そのものの評価は、整形外科など病院での検査が前提となりますが、骨折が疑われる場合には、エコーによる評価が有用な選択肢の一つとなります。
じゅん整骨院では、急性外傷から骨粗鬆症を背景とした骨折まで、エコーによる病態把握を軸に幅広く対応しています。骨の健康が気になる方は、ぜひ一度ご来院ください。
2026年6月9日(火)および6月16日(火)の2日間、ダイヤ工業株式会社(岡山県岡山市南区)と岡山県立岡山南高等学校との産学連携特別授業に、じゅん整骨院院長として特別講師を務めさせていただきました。会場はダイヤ工業株式会社本社オフィスです。
同校との連携授業は本年で7年目とのことで、これまでは「モノづくり」をテーマとした授業が中心だったそうです。今回はその発展形として、地元・岡山で活動する柔道整復師を特別講師に迎える形式が新たに実現し、私にお声がけをいただきました。
ダイヤ工業株式会社は、全国の施術現場や柔道整復師との連携ネットワークを有しており、そのネットワークを活かして学校教育の場と柔道整復師の現場をつなぐ橋渡し役を担いたいというご趣旨で、今回の企画をお声がけいただきました。私自身、公益社団法人岡山県柔道整復師会に所属する立場としても、この趣旨に賛同し、登壇させていただいた次第です。
柔道整復師という国家資格について、整形外科や整体院との違いを含めてご説明し、実際の患者事例を交えながら仕事内容を解説しました。
あわせて、当院で日常的に使用している超音波画像観察装置(エコー)を用い、生徒さん自身の足関節などをその場で観察していただく実習を行いました。
スポーツをする学生さんにとって身近な「ウォーミングアップ」をテーマに、体験型の授業を行いました。
| 実施日 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2026年6月9日(火) | 柔道整復師の仕事とは | 柔道整復師の役割解説、エコーを用いた関節観察実習 |
| 2026年6月16日(火) | 正しい身体のケア | ウォーミングアップの実践指導、体験型授業 |
ダイヤ工業株式会社のプレスリリースで紹介されていた感想の一部を、要旨としてご紹介します。
このような声をいただけたことは、私自身にとっても、柔道整復師という仕事の魅力を次世代に伝える意義を改めて実感する機会となりました。
黒川 純(じゅん整骨院 院長)
ダイヤ工業株式会社のプレスリリースでは、今後も学校・現場・地域社会をつなぐ地域連携・教育支援を継続していく方針である旨が述べられています。
本記事の授業日程・登壇背景・生徒さんの声に関する情報は、ダイヤ工業株式会社プレスリリース「【岡山南高校×ダイヤ工業】7年目の「産学連携」授業が進化!メーカーが架け橋となり、高校生へ現場のリアルを伝える特別授業を実施」(PR TIMES、2026年6月24日13時00分配信)に基づいています。
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000516.000060537.html