TEL
  

ぎっくり腰を繰り返す理由|痛みの発生源を分けて考える

2026.10.15 | Category: MRI,ぎっくり腰,ぎっくり腰とは,ぎっくり腰ヘルニア,ぎっくり腰原因,ぎっくり腰治療,しびれ,アイシング,エコー,ストレッチ,ヘルニア,レントゲン,仙腸関節,原因不明,坐骨神経痛,微弱電流,整形外科,栄養,歪み,物理療法,画像検査,病態把握,痛み,痛みの原因,痺れ,神経痛,筋肉,組織修復,腰痛,腰痛原因,腰痛症状,超音波画像検査,鑑別,間違った常識

      
 
Pocket

湿布

ぎっくり腰(急性腰痛)は、重い物を持ち上げたときや体をひねった瞬間など、日常の動作をきっかけに起こります。数日から数週間で動けるようになる方が多い一方で、「年に何度も繰り返す」「前回より長引いた」という方も少なくありません。

オーストラリアで行われた前向きコホート研究では、腰痛から回復した人の69%が12か月以内に再発し、40%が活動を制限するほどの再発を経験したと報告されています(da Silva ら, 2019, J Physiother)。ぎっくり腰は「一度治まれば終わり」ではなく、繰り返しやすい状態として扱う必要があります。

本記事では、岡山市南区西市のじゅん整骨院で行っている、ぎっくり腰の痛みの発生源を分けて考える評価と、再発を減らすための対応を、【所見】→【仮説】→【介入根拠】→【予後管理】の順に整理します。ぎっくり腰の基本的な原因と対処法についてはぎっくり腰の原因と対処法もあわせてご覧ください。

ぎっくり腰の多くは「非特異的腰痛」に分類される

仙腸関節

医学的には、ぎっくり腰の多くは画像検査などで原因を一つに特定できない「非特異的腰痛(機械的腰痛)」に分類されます。機械的腰痛は、脊椎、椎間板、周囲の軟部組織から生じる痛みと整理されています(Will ら, 2018, Am Fam Physician)。

「原因を一つに特定できない」ことは、「原因がない」ことではありません。痛みの出方や動作との関係を丁寧に確認すると、筋・筋膜、椎間関節、仙腸関節、椎間板など、どの組織の関与が大きいかを推定できる場合があります。発生源の見立てが違えば、動かし方の指導や施術の内容も変わります。

【所見】病態把握:何を確認するのか

超音波画像検査 エコー

最初に確認すること:医療機関の受診が必要なサインの有無

ぎっくり腰のような症状でも、まれに骨折、感染、腫瘍など、医療機関での精査が必要な病態が隠れていることがあります。以下のような所見(レッドフラッグ)がある場合は、整形外科などの医療機関をご紹介します(Will ら, 2018/ACR Appropriateness Criteria, 2021)。

  • 脚の力が入りにくい、しびれが広がる・強くなる
  • 尿が出にくい、または漏れる
  • がんの既往がある
  • 年齢に比べて強い外力(転倒・転落など)を受けた
  • 発熱を伴う、安静にしても痛みが変わらない・夜間に強い

問診・視診・触診・徒手検査

確認項目 具体的に見ること 考えられる発生源の手がかり
発症のきっかけ 持ち上げ動作、ひねり、くしゃみ、起床時など 負荷のかかり方の推定
痛む動作 前かがみ/反らす/ひねる/立ち上がる/座り続ける、のどれで痛みが強いか 前屈で強い場合と後屈で強い場合では、関与する組織が異なる可能性があります
痛みの範囲 腰の中央か、片側か、お尻・脚まで広がるか 片側の骨盤付近の痛みは仙腸関節、脚へ広がる痛みは神経の関与を確認します
圧痛 背骨の際、筋の上、仙腸関節周囲など 圧痛の位置と普段の痛みが一致するかを確認します
徒手検査 下肢伸展挙上テスト、仙腸関節への負荷テスト、神経学的検査(筋力・感覚・反射) 神経根の関与や仙腸関節由来の痛みの可能性を評価します

エコー(超音波画像観察装置)で観察する構造

エコーでは、腰部の比較的浅い位置にある構造を、動きと合わせて観察します。

  • 多裂筋・脊柱起立筋:筋の厚みや左右差、筋の内部や筋膜の間の変化の有無
  • 胸腰筋膜:筋膜の層の状態と、動作時の筋膜同士の滑り
  • 椎間関節周囲・仙腸関節後面:関節周囲の像と、プローブで押したときの痛みの再現

一方で、椎間板の内部や神経根など深部の構造は、エコーでは十分に評価できません。神経症状やレッドフラッグがある場合の画像評価にはMRIが適しているとされており(Will ら, 2018)、その場合は整形外科などの専門の医療機関を紹介します。エコーは、問診・徒手検査と組み合わせて「どこまで確認できたか」を明確にするために用いています。

【仮説】ぎっくり腰が長引く・繰り返す背景要因

腰椎分離症 Far out syndrome 梨状筋症候群 腰痛 ”腰椎椎間板ヘルニア”

1. 痛みの発生源と対応がずれている

椎間関節に関わる痛み、仙腸関節に関わる痛み、筋・筋膜に関わる痛みでは、痛みが強くなる動作や避けるべき姿勢が異なります。発生源(痛みの原因)の見立てがずれたまま「とにかく安静」「とにかくストレッチ」と対応すると、回復が遅れる可能性があります。

2. 動かさない期間が長すぎる

コクランの系統的レビューでは、急性腰痛の方に対して「ベッドで安静にする」よう助言するより、「できる範囲で活動を続ける」よう助言した方が、痛みと機能がわずかに改善したと報告されています(中等度の質のエビデンス/Dahm ら, 2010)。痛みへの不安から動かない期間が長くなると、回復が遅れる要因になり得ます。

3. 再発につながる生活上の要因

前述のコホート研究では、不自然な姿勢をとる機会が多いこと、1日5時間を超えて座っていること、過去に2回を超える腰痛のエピソードがあることが、12か月以内の再発の予測因子として挙げられています(da Silva ら, 2019)。痛みが消えた後もこれらの要因が変わっていなければ、同じ状況が繰り返される可能性があります。

4. 痛みへの不安や気分の落ち込み

急性・亜急性腰痛の経過を調べた系統的レビューでは、抑うつ症状が腰痛の経過に悪い影響を与える可能性が示されています(Pinheiro ら, 2016, Spine J)。痛みの状態を具体的に説明し、どこまで動いてよいかを共有することも、回復過程の一部と考えています。

【介入根拠】施術の選択とその理由

超音波療法 ハイボルテージ

急性・亜急性の非特異的腰痛に対する介入を比較したネットワークメタ分析では、運動、温熱、徒手療法などの非薬物療法で、短期的な痛みや機能障害の軽減が示されています。一方で、エビデンスには不確実性があるとされています(Gianola ら, 2022, Br J Sports Med)。当院では、評価で推定した発生源に合わせて以下を組み合わせます。

動かし方の指導(最も優先する対応)

  • 痛みが強くなる方向の動きと、比較的楽な方向の動きを評価で確認し、日常生活で避ける動作・続けてよい動作を具体的にお伝えします
  • 寝たきりにならず、痛みの範囲内で日常生活を続けていただくことを基本とします
  • 起き上がり方、座り方、物の持ち方など、痛みを強めにくい動作の手順を練習します

物理療法

 

機器 用いる目的
ハイボルテージ 痛みの強い時期の疼痛管理
微弱電流(エレサス) 損傷が疑われる組織周囲への通電
立体動態波 深部の筋の緊張と痛みへの対応
超音波 温熱作用による軟部組織の柔軟性への対応

物理療法の詳細は当院の物理療法のページをご覧ください。

手技・テーピング

  • 手技:筋・筋膜の緊張や関節の動きを確認しながら、痛みの出ない範囲で行います
  • テーピング:痛みの出る方向への動きを制限し、日常動作を続けやすくする目的で用いることがあります
  • アイシング:受傷直後で熱感が強い場合など、必要に応じて行います。一律には行いません

付加価値:組織の回復に関わる栄養

筋・筋膜や靭帯など、損傷した組織が作り替えられる過程では、材料となる栄養素が必要です。以下は組織の修復に関与するとされる主な栄養素です。

栄養素 関与するとされる働き 不足した場合に考えられること
たんぱく質 筋・結合組織(コラーゲン)の材料 修復材料の不足
ビタミンC コラーゲン合成に必要な補因子 コラーゲン合成の低下
鉄 酸素運搬、コラーゲン合成に関わる酵素の補因子 組織への酸素供給の低下につながる可能性
マグネシウム 筋の収縮と弛緩の調整に関わるとされる 筋の過緊張との関連が指摘されることがあります

食事の内容を確認したうえで、必要に応じて食事の組み立て方やサプリメント・プロテインの利用についてご案内します。特定の栄養素の摂取で腰痛が改善すると断定できるものではなく、回復の土台を整える目的で位置づけています。

【予後管理】臨床的結論

ぎっくり腰は、多くの方で短期間に動けるようになる一方、プライマリケアを受診した急性腰痛の患者を追った系統的レビューでは、発症から1年後も65%が何らかの痛みを報告していたとされています(Itz ら, 2013, Eur J Pain)。この報告では、最初の3か月で回復しなかった方の経過観察を重視すべきと結論づけられています。

  • 再評価:痛む動作・圧痛・徒手検査の結果を定期的に確認し、動かし方の指導と施術内容を調整します
  • 回復の目安:起き上がり・立ち上がり・前かがみなどの日常動作が、痛みの増悪なく行えることを段階的に確認します
  • 再発予防:座る時間の長さ、作業姿勢、物の持ち方など、再発の予測因子とされる生活上の要因を一緒に見直します。再発予防を目的とした運動プログラムについては機能改善プログラムのページをご覧ください
  • 医療機関への紹介:レッドフラッグがある場合、神経症状が進む場合、経過が想定と異なる場合は、整形外科などの医療機関をご紹介します

ぎっくり腰の再発予防

参考文献

  • da Silva T, et al. Recurrence of low back pain is common: a prospective inception cohort study. J Physiother. 2019;65(3):159-165. doi:10.1016/j.jphys.2019.04.010
  • Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007612. doi:10.1002/14651858.CD007612.pub2
  • Gianola S, et al. Effectiveness of treatments for acute and subacute mechanical non-specific low back pain: a systematic review with network meta-analysis. Br J Sports Med. 2022;56(1):41-50. doi:10.1136/bjsports-2020-103596
  • Itz CJ, et al. Clinical course of non-specific low back pain: a systematic review of prospective cohort studies set in primary care. Eur J Pain. 2013;17(1):5-15. doi:10.1002/j.1532-2149.2012.00170.x
  • Pinheiro MB, et al. Symptoms of depression as a prognostic factor for low back pain: a systematic review. Spine J. 2016;16(1):105-16. doi:10.1016/j.spinee.2015.10.037
  • Will JS, et al. Mechanical Low Back Pain. Am Fam Physician. 2018;98(7):421-428.
  • Expert Panel on Neurological Imaging. ACR Appropriateness Criteria® Low Back Pain: 2021 Update. J Am Coll Radiol. 2021;18(11S):S361-S379. doi:10.1016/j.jacr.2021.08.002

あわせて読みたい

ぎっくり腰の一般的な原因・症状・対処法については、ぎっくり腰の原因と対処法:予防と早期回復のポイントで整理しています。当院で使用している物理療法機器はこちら、再発予防のための機能改善プログラムはこちらからご確認いただけます。

📍 岡山市南区・備前西市駅 徒歩1分
じゅん整骨院
超音波画像検査 × 病態把握徹底 × 的確な施術 × 物理療法 × 分子栄養療法
▶ ご予約はこちら
Pocket

当院へのアクセス情報

所在地〒700-0953 岡山県岡山市南区西市476 セビアン西市駅前1F
予約初診時のみ予約優先
電話番号086-250-3711
駐車場10台
休診日日祝祭日