Blog記事一覧 > エコー,レントゲン,原因不明,捻挫,整形外科,画像検査,病態把握,痛み,痛みの原因,突き指,筋損傷,筋肉,組織修復,肉離れ,肩の痛み,腕の痛み,腰痛原因,膝の痛み,裂離骨折,超音波画像検査,鑑別,間違った常識,骨折,骨折・脱臼 > レントゲンで異常なしでも痛いのはなぜ?|エコーで見る靭帯損傷・骨折・軟部組織の病態|岡山市・整骨院

スポーツ外傷や日常生活でのケガの後に医療機関を受診し、「レントゲンでは異常ありません」と言われた経験のある方は少なくありません。
しかし、その後も痛みや腫れ、運動時痛が続くケースは決して珍しくありません。
このとき重要なのは、
「レントゲンで異常なし=身体に異常なし」ではない
ということです。
レントゲン検査は骨折や脱臼の評価に優れた検査です。しかし、靭帯、筋肉、腱、関節包、脂肪体などの軟部組織を直接観察することはできません。
つまり、
「骨に明らかな異常が認められなかった」という結果と、
「痛みの原因となる組織が存在しない」という結論は同じではありません。
重要なのは画像検査の結果そのものではなく、どの組織が痛みを発生させているのかを把握することです。

レントゲン検査はX線を利用して骨の状態を評価する検査です。
外傷において非常に重要な検査であり、特に以下の評価に優れています。
| 評価対象 | 評価のしやすさ |
|---|---|
| 骨折 | ◎ |
| 脱臼 | ◎ |
| 骨配列(アライメント) | ◎ |
| 骨棘形成 | ◎ |
| 関節裂隙 | ○ |
| 靭帯 | × |
| 筋肉 | × |
| 腱 | × |
| 脂肪体 | × |
つまりレントゲンは骨の評価には優れていますが、運動器疾患で問題となることの多い軟部組織については直接評価できません。

私たちが日常的に遭遇する運動器疾患の多くは、骨以外の組織が疼痛発生源になっています。
| 組織 | 代表的な病態 |
|---|---|
| 靭帯 | 足関節捻挫、膝靭帯損傷 |
| 筋肉 | 肉離れ、筋挫傷 |
| 腱 | アキレス腱障害、ジャンパー膝 |
| 関節包 | 関節包損傷 |
| 脂肪体 | 脂肪体炎、インピンジメント |
| 神経周囲組織 | 神経滑走障害 |
例えば足関節捻挫では、前距腓靭帯(ATFL)や踵腓靭帯(CFL)の損傷が起こることがあります。
これらは強い痛みや腫脹を伴うことがありますが、レントゲンでは直接確認することができません。
そのため、「レントゲンで異常なし」という結果だけで病態を判断することはできないのです。

超音波画像観察(エコー)は、運動器の軟部組織をリアルタイムで観察できる画像評価法です。
近年では整形外科やスポーツ医学の分野で広く活用されており、外傷評価においても重要な役割を担っています。
| 評価対象 | エコー評価 |
|---|---|
| 靭帯 | ◎ |
| 腱 | ◎ |
| 筋肉 | ◎ |
| 滑液包 | ◎ |
| 脂肪体 | ◎ |
| 神経 | ○ |
| 骨皮質表面 | ◎ |
特に靭帯損傷では、
などを評価できる場合があります。

エコーの最大の特徴は、組織を動かしながら観察できることです。これを動的評価(Dynamic Assessment)と呼びます。
例えば足関節捻挫でATFL損傷が疑われる場合、足関節にストレスを加えながら観察することで、
などを確認できる場合があります。
静止画像だけでは分からない病態を把握できることは、超音波画像観察の大きな特徴です。

骨折評価の基本はレントゲンです。
しかし、骨折直後や微細骨折では初回レントゲンで明瞭に描出されない場合があります。
エコーでは骨皮質表面を高解像度で観察できるため、
などを確認できる場合があります。
ただし、すべての骨折を評価できるわけではなく、レントゲン、CT、MRIなどと組み合わせて総合的に判断することが重要です。

私たちは病名だけで判断するのではなく、
【所見】→【仮説】→【評価】
という流れで病態を考えています。
これらを組み合わせることで、どの組織が疼痛発生源になっているのかを推定します。

損傷組織は、
という修復過程を経て回復します。
靭帯損傷では適切な固定によって過剰なストレスを抑制しながら、組織修復環境を整えることが重要になります。
また、リモデリング期には段階的な負荷を与えることでコラーゲン線維の再配列が進み、組織強度の向上が期待されます。
痛みが軽減したことと組織修復が完了したことは同じではありません。そのため、競技復帰や日常生活への復帰は組織の状態を考慮しながら段階的に進める必要があります。
レントゲンで異常なしという結果は、「身体に異常がない」ことを意味するわけではありません。
レントゲンは骨の評価に優れた検査です。一方で、靭帯、筋肉、腱、関節包などの軟部組織は評価できません。
重要なのは病名ではなく、
「どの組織が、なぜ痛みを出しているのか」
を把握することです。
レントゲン、エコー、徒手検査、それぞれの特徴を理解しながら病態を分析することが、適切な負荷管理や機能回復につながると考えています。