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超音波療法は設定が重要な理由|周波数・深さ・照射量の根拠

2026.10.26 | Category: エコー,捻挫,整形外科,栄養,物理療法,画像検査,病態把握,痛み,痛みの原因,筋損傷,組織修復,蛋白質,超音波画像検査,足首捻挫,鑑別,間違った常識,骨折

      
 
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同じ「超音波療法」でも、結果が同じとは限らない

超音波療法 ハイボルテージ

超音波療法は、1〜3MHz程度の超音波を体に当て、組織を温めたり微細な振動を与えたりする物理療法です。整骨院や整形外科のリハビリで広く使われています。

一方で、「何度当ててもらっても変わらない」と感じる方もいます。研究でも、超音波療法の効果ははっきりしないとする報告が少なくありません。ただ、効果が見られた研究と見られなかった研究を比べると、照射時間や照射量に大きな差があったとする報告もあります。

つまり、超音波療法は「当てたかどうか」ではなく、「どの深さでどの組織に、どれだけのエネルギーを届けたか」で結果が変わる可能性があります。この記事では、周波数・深さ・照射量の考え方と、当院がエコーで標的組織を確認してから設定を決めている理由を説明します。

【所見】照射前に確認すること

物理療法

問診・視診・触診・徒手検査

超音波療法を適応する前に、まず痛みの出どころとなっている組織を絞り込みます。

  • 受傷の有無、痛みが出てからの期間(急性期か、それ以降か)
  • 圧痛の位置、腫れ・熱感の有無
  • どの動きで痛むか、関節の可動域の制限
  • 靭帯・腱・関節包など、原因として疑われる組織
  • 感覚の異常、金属の埋め込み、既往歴など、使用を避けるべき条件の有無

エコーで確認する項目

確認項目 エコーで見るもの 設定への反映
標的組織の深さ 皮膚表面から靭帯・腱・関節包までの距離 周波数の選択(浅い組織か、深い組織か)
標的組織の範囲 損傷や肥厚がある範囲の広さ 照射範囲と照射時間
組織の状態 腫れ、液体の貯留、ドプラでの血流シグナル 温熱を目的とするか、非温熱を目的とするか
周囲の構造 骨の表面、成長軟骨の有無 照射部位・出力の制限

例えば、「足首の捻挫」で前距腓靭帯を狙う場合において、腫脹の程度によって皮膚から前距腓靭帯までの距離が異なります。体格や皮下脂肪の厚さによっても深さは変わるため、当院ではエコーで実際の深さを確認しています。

【仮説】超音波療法の結果がばらつく背景

1. 周波数と届く深さが合っていない

超音波は周波数によって届く深さが変わります。物理療法の教育資料では、1MHzはおよそ5cm程度、3MHzはおよそ1〜2cm程度の深さに作用するとされています[数値は資料により幅あり]。3MHzは浅い部分で吸収されやすく、深い組織までは届きにくくなります。深い位置の組織に3MHzを当てても、エネルギーの多くは手前で吸収されてしまう可能性があります。

2. 組織によって吸収のされ方が違う

超音波のエネルギーは、コラーゲンを多く含む組織ほど吸収されやすいとされています。腱・靭帯・関節包・瘢痕組織は吸収されやすく、脂肪や筋肉は比較的吸収されにくいと説明されています。超音波療法は、筋肉をほぐすというより、コラーゲンの多い組織に作用させる方法と考えられます。

3. 照射量が不足している

肩の軟部組織の痛みを対象にした系統的レビューでは、効果が認められた研究は、効果が認められなかった研究に比べて総照射時間がおよそ4倍長く、1回あたりの照射エネルギーも大きかったと報告されています[Alexander LD ら, Phys Ther, 2010]。広い範囲に短時間当てると、組織あたりのエネルギーが不足する可能性があります。一般に、照射範囲はプローブの有効照射面積の2倍程度までが目安とされています。

4. 時期と目的が合っていない

連続照射で組織を温める「温熱」と、断続的に照射して温度をあまり上げない「非温熱」では、目的が異なります。腫れや熱感が強い急性期に温熱を目的とした照射を行うことは、一般に避けるべきとされています。

【介入根拠】研究で示されている範囲と当院での使い方

超音波療法 ハイボルテージ

研究で示されていること

超音波療法の効果については、慎重にみる必要があります。

  • ランダム化比較試験を集めた系統的レビューでは、偽の照射と比べて痛みや筋骨格系の障害に効果があるという根拠は乏しいと結論づけられています。一方で、手根管症候群と肩の石灰沈着性腱炎については効果を示した試験がありました[Robertson VJ, Baker KG, Phys Ther, 2001]。
  • 肩の石灰沈着性腱炎を対象にした二重盲検試験では、超音波療法を行った群で、偽の照射群より症状が改善した割合が高かったと報告されています[Ebenbichler GR ら, N Engl J Med, 1999]。
  • コクランレビューをまとめた報告では、痛みの有意な軽減が示されたのは膝の変形性関節症のみでした。有害事象の報告はなかったとされています[Leite APB ら, Acta Fisiátrica, 2013]。

このように、超音波療法はどの症状にも効果がある方法ではありません。対象と設定を選んで用いる方法です。

温熱の作用

組織の温度が上がると、代謝や血流が増え、コラーゲン組織の伸びやすさが増すとされています。温度上昇の程度によって、代謝の亢進、筋スパズムの軽減、組織の伸張性の向上と、得られる作用が変わると説明されています[Lehmann JF, 1967 ]。当院では、関節包や靭帯の硬さによる可動域の制限に対して、温めた直後に可動域の運動やストレッチを組み合わせています。

非温熱の作用

LIPUS

断続的な照射では、組織の温度をあまり上げずに、細胞に機械的な刺激を与えることを目的とします。組織修復に関わる細胞の働きに影響するという報告があります。

当院での設定の考え方

状況 目的 設定の考え方
浅い位置の靭帯・腱(例:足首の外側の靭帯) 修復過程の補助、硬さの改善 3MHzを中心に、範囲を絞って照射
深い位置の関節包・腱(例:肩や股関節周囲) 伸張性の改善 1MHzを中心に、温熱の後に運動を組み合わせる
腫れや熱感が強い時期 温度をあまり上げずに用いる 断続照射、低出力
成長軟骨の上、感覚が鈍い部位など - 照射しない、または出力・部位を制限

超音波療法は単独で用いるのではなく、手技、固定、運動療法と組み合わせて用います。なお、骨折に対して用いる低出力超音波(LIPUS)は、目的と出力が異なる別の機器です。

使用を避ける・注意する主な条件

  • 悪性腫瘍のある部位
  • 妊娠中の腹部・腰部
  • 眼の周囲
  • 感覚の低下がある部位(温熱の場合)
  • 血栓が疑われる部位
  • 成長期の骨端線(成長軟骨)の上(高出力の場合)

組織の修復と栄養

超音波療法の作用が向けられる腱・靭帯・関節包は、コラーゲンを主成分とする組織です。修復や適応には材料が必要で、分子栄養学の観点からは次の栄養素が関わるとされています。

栄養素 主な役割 不足したときに考えられる影響
タンパク質 コラーゲンの材料 腱・靭帯の修復が滞る可能性
ビタミンC コラーゲン合成に必要な補酵素として働く 結合組織の質の低下
鉄 コラーゲン合成や酸素運搬に関わる 組織への酸素供給の低下
亜鉛 タンパク質合成に関わる酵素の構成成分 組織の修復が遅れる可能性

サプリメントで超音波療法の効果が高まると断定できる根拠は確認できていません。食事の内容を確認し、不足を補うことから考えます。

【予後管理】経過の確認

超音波療法を行った後は、次の項目で経過を確認します。

  • 痛みの強さと、痛みが出る動き
  • 関節の可動域
  • 圧痛の範囲
  • エコーでの腫れ、液体の貯留、血流シグナルの変化

数回の施術で変化が見られない場合は、設定の見直しに加えて、標的とした組織が本当に痛みの原因なのかを評価し直します。必要に応じて、整形外科などの医療機関をご紹介します。

まとめ

超音波療法は、周波数によって届く深さが変わり、照射量や照射範囲によって結果が異なる可能性がある物理療法です。研究で効果が示されている対象は限られているため、対象と設定を選ぶことが前提になります。

岡山市南区西市のじゅん整骨院では、エコーで標的組織の深さと状態を確認したうえで周波数・出力・照射範囲を決め、手技や運動療法と組み合わせて用いています。

関連ページ

超音波療法の基本的な仕組みと当院での活用場面は「”超音波療法”とは?その効果とじゅん整骨院での活用法」で紹介しています。

エコーで確認している内容は超音波画像検査(エコー)のページ、超音波療法以外の物理療法機器は物理療法のページをご覧ください。

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電話番号086-250-3711
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