Blog記事一覧 > エコー,整形外科,栄養,物理療法,画像検査,病態把握,痛み,痛みの原因,痺れ,神経痛,筋肉,鑑別 > 【親指と人差し指が力が入らない?】”前骨間神経麻痺”の病態と臨床評価|岡山市 じゅん整骨院
”前骨間神経麻痺”(anterior interosseous nerve palsy)は、正中神経(median nerve)の分枝である前骨間神経(anterior interosseous nerve:AIN)が障害を受けることで発症する神経障害です。
この神経は、前腕の深層を走行し、長母指屈筋(FPL)・深指屈筋(FDP)・方形回内筋(PQ)を支配しています。主な症状は、親指と人差し指で「OKサイン」が作れなくなる、すなわちピンチ動作(つまむ動作)が困難になることです。
前骨間神経は運動神経であり、感覚枝を持たないためしびれを伴わない筋力低下が特徴です。障害部位は肘〜前腕部にかけてさまざまで、以下のような原因が考えられます。
臨床的には、単なる筋力低下ではなく、神経の滑走性(mobility)の低下が強く関与しており、正確な病態把握が重要です。
当院では、神経滑走性を回復させるモビライゼーションを中心に施術を行います。
筋肉を単に緩めるのではなく、神経がスムーズに動く環境を整えることが重要です。
神経の修復や滑走性の維持には、十分な栄養状態が欠かせません。特にビタミンB1(チアミン)、B6(ピリドキシン)、B12(メチルコバラミン)は末梢神経の代謝に重要です。
さらに、神経鞘(ミエリン)形成に関わるタンパク質や脂質の摂取不足も、回復の遅れにつながります。
当院では、食事指導を含めた分子栄養的アプローチにより、神経機能の回復をサポートしています。
前骨間神経麻痺は「感覚がないのに力が入らない」という特徴的な病態のため、腱や筋肉の障害と誤認されることもあります。
しかし、神経の滑走障害や代謝低下を正確に評価し、早期に対応することで、回復を早めることが可能です。